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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

手帳のなかのお天気

 表紙で計って縦が七十ミリ、横が百五ミリ、そして厚さは十五ミリ。一ページのスペースはこれよりひとまわり小さく、その一ページぜんたいのスペースが、細い罫によって五ミリ幅の十六行に、仕切られている。これがその手帳の本体だ。ページ数は一日一ページで一年分ある。
 本体の前後には、カレンダー、日の入りと日の出、世界各国の祝祭日、メートル換算表、月間予定表、住所録、金銭出納帳など、手帳らしい情報のページがある。イギリス製の手帳だ。なんの変哲もないところがたいそう好ましい、ごく平凡な普及品だ。ポケットや鞄に入れていつも持ち歩く手帳だ…

底本:『坊やはこうして作家になる』水魚書房 2000年

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