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エッセイ

股関節の柔軟な歩きかた

 秋のウイーク・デーの夜。早すぎもおそすぎもしない、とてもいい時間に、ぼくは彼女とふたりで散歩をしていた。彼女の、ほどよい高さのきれいなヒールが、歩道に心地よい音をたてていた。いっしょに散歩する女性としてぼくがまっさきにあげたい条件は、もしあげさせてもらえるなら、足音の美しい女性であることだ。
 足音が美しくあるためには、たとえばはいている靴が自分にぴったりと合った上出来の靴でなくてはならず、歩き方がきれいでなければならず、歩き方がきれいであるためには骨盤や背骨がすっきりとまっすぐでなくてはならず、股関節は柔軟でなくては…

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『「彼女」はグッド・デザイン』太田出版 1996年

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