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評論・エッセイ

『女が階段を上る時』

一九六〇年の日本でバーが全盛期を迎えた。
会社勤めの男たちがもっとも安心して寛げる場所だった。
『女が階段を上る時』という作品に関して、書きたいことはさほどない。このような映画を僕は苦手としている。つまらないから、というのは理由のひとつに挙げていい。一九六〇年(昭和三十五年)、日本の映画は明らかに下降をたどっていた。その下り坂に敷きつめられた、無数と言っていいほどに大量の作品のひとつが、このような映画だったのだろう。観ていると気が滅入ってくる、というのも苦手とする理由のひとつだ。なぜ、気が滅入るのか。世間…

底本:『映画の中の昭和30年代』草思社 2007年

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