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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

占領とヌードル・スープ

 小さな空き箱がひとつあれば、それを道具にして子供はさまざまな遊びを工夫することが出来る。空き箱ではなくてもいい。なかになにかが入っている箱なら、外側の箱だけではなく、なかにあるものを使っても、子供は遊ぶ。三方の壁に奥行きの深い棚が鴨居まであるだけの、納戸のように使っている部屋に入ると、その棚はまるで商店のように、アメリカの商品でいつも埋まっていた。いろんな物があったのだろうと思うけれど、子供の僕にとって印象が強かったのは食品だ。食品は箱や袋、あるいは缶に入っていた。袋はさほどでもないのだが、箱と缶は、遊び道具として使いでがあった。<…

底本:『白いプラスティックのフォーク──食は自分を作ったか』NHK出版 2005年

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