すべての価値は個人から始まる
アメリカ的な価値を主題とした、さまざまな文章を集めたアンソロジーだ。隅から隅まで熟読して確認できるのは、アメリカ的な価値という力はすべて個人から出発する、という厳然たる事実だ。それまでは存在しなかった新しい価値は、個人からのみ生まれてくる。そしてその価値を社会の力へと転換していくのも、個人なのだ。その個人の力が集まって社会の力となり、国の力へと結実していく。
すべては個人から始まるというこの事実が、そしてそれだけがフェアであるとされるアメリカで、もっとも大きな価値が置かれるのは、個人がひとりの主体として自立することだ…
底本:『半分は表紙が目的だった──100冊のペーパーバックスにアメリカを読む』晶文社 2000年