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小説

信号を左折する

まるで彼女たちと一緒にステーションワゴンに乗っているような視点を得ることができるストーリー

男と女が海辺で待ち合わせをして、女の運転で空港に行き、そこでもう一人の女を迎えて、再びステーションワゴンで空港から出てきた女を送っていく、それだけの物語です。そこに会話は一切無く、片岡義男の文章は、淡々と、しかし緻密に状況だけを描写していきます。言葉がカメラとなって、3人の男女とステーションワゴンを映し出します。それだけに、最後に女が発する一言にハッとさせられます。物語に於ける描写とセリフの緊張関係が、そのまま小説になって、しかも、スタイリッシュに見えて実験的という小説技法の粋が味わえます。

底本:『私は彼の私』角川文庫 1986年
初出:不明

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