400+400
五月晴れの日に出会った、オートバイに乗る男女との会話から広がる物語
オートバイに乗る人たちについての短編小説、と言えばタイトルが意味するものが分かる人も多いでしょう。1985年に書かれた、ある晴れた五月の大きな鯉のぼりの下での出会いと、そこでの会話が、オートバイ、カメラ、屋外で紅茶を淹れる道具などの小道具について丁寧に描写しながら語られます。鯉のぼりの下で横になって見上げていると、そこに女性ライダーが来て、続いて彼女の夫が来て、同じオートバイが3台並びます。そして、彼女が去り、夫も去り、残された「私」は、今聞いた話にタイトルを付けようと考えます。そのようにして物語が生まれる小説なのです。
底本:『ふたとおりの終点』角川文庫 1985年
初出:「55mph」1985年6月1日号
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