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小説

恋物語のたどる道

雨の夜の電話ボックスというシチュエーションは、かつて様々な恋物語が生まれた場所でした

雨の夜、電話ボックス、三叉路、このお題で恋愛小説を書くという三題噺の名品のような掌編です。雨の真夜中、電話ボックスで落ち合う男女の息の合った出会いから、電話ボックスの中で行われるキスは、長く付き合っている男女の仲を感じさせます。そこからの急展開、そして分かれ道を、タイトル通りに、恋物語はラストシーンへと、多くの恋物語がたどる道に向かいます。その見事な構成の中には、恋物語のあらゆるシチュエーションが凝縮されています。原稿用紙10枚ほどの中に描かれる高密度の恋愛小説、その膨大な情報量に圧倒されます。

底本:『さっきまで優しかった人』新潮文庫 1988年
初出:「月刊カドカワ」1984年12月号

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