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小説

ドアの遠近法

閉じることも開くこともできるドアの存在によって、人は距離を作り出す

1年に1枚、LPレコードを発表し、ラジオDJでもある26歳の女性、中島理津子が小説を依頼され、それを書き上げるまでの物語、と言えば簡単ですが、構造は複雑です。最初は三人称の小説のように理津子の奔放な振る舞いが描かれるのですが、やがてそれは理津子の友人である「ぼく」が書いている一人称の小説だということが分かってきます。さらに、小説内に理津子による二つの短編と、「ぼく」が小説の書き方を友人に説明するために書いた短編小説が挿入されます。それぞれの文体がまるで遠近法のように交錯しながら理津子という女性の魅力が描かれていきます。

底本:『ドアの遠近法』祥伝社ノン・ポシェット 1987年

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