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小説

坂の下の焼肉の店

幼い頃に亡くした母親の幼なじみからの電話から、自分がなぜ絵を描くことを選んだかという謎が解ける。

不意にかかってきた電話は、三田村五郎が3歳の時に亡くした母親の幼なじみからでした。杉浦由起子という彼女は、一度、旧友の息子に会っておきたかったと言い、翌月、五郎の家を訪ねてきます。そこで五郎は母親が、自分と同じく絵を描く人だったことを知ります。絵を描くことを仕事に選んだ五郎は、その根拠が母親にあったことに喜び、そして、彼は由起子を訪ねた博多で母親が描いた油絵と対面します。帰京した五郎が父親と焼肉を食べながら母親の話をする、その情景が何とも言えず温かい、そういう物語です。

底本:『物のかたちのバラッド』アメーバブックス 2005年5月
初出:「小説宝石」2004年8月号

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