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小説

夏の終りとハイボール

二人の過去についての話、これからへの不安などが描かれながら、二人の旅は思いもよらぬ展開の後、夏の終わりに遠く離れた地点へと着地します。

 三十七歳の田島裕二は独身で夏の終りでした。彼は、時々行きつけのバーで見かける二十七歳の女性、三枝直子を温泉旅行に誘います。少し前に彼女と道ですれ違った時に向けられた微笑に導かれるように気まぐれで購入した宝くじで百万円当たった彼は、それを資金に十日間の休みを温泉巡りに使いたいと彼女を誘います。そうして始まる旅の物語。それを片岡義男は、見事なロードノベルに仕立てています。二人の過去についての話、これからへの不安などが描かれながら、二人の旅は思いもよらぬ展開の後、夏の終わりに遠く離れた地点へと着地します。

初出・底本:『階段を駆け上がる 片岡義男短編小説集』左右社 二〇一〇年

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