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小説

雨降りのミロンガ

二十年ほど前の神保町の記憶が、2010年の神保町と重なり、エリカ、ミロンガと今も続く老舗の喫茶店から、現在のコーヒー店へと至る、街の記憶です。

 夏の終りの雨の日、神保町の交差点で横断歩道を渡っていた作家の佐原竜二は、同じ年頃の女性に名前を呼ばれます。彼女を思い出せない佐原に、彼女は「喫茶・アイランド」という店名を告げ、佐原は二十代の雑誌ライター時代に通っていた、アイランドのウェイトレスだった彼女を思い出します。そうして始まるのは、片岡義男自身のライター時代の思い出に繋がる、神保町の喫茶店めぐりの物語。二十年ほど前の神保町の記憶が、2010年の神保町と重なり、エリカ、ミロンガと今も続く老舗の喫茶店から、現在のコーヒー店へと至る、街の記憶です。

初出・底本:『階段を駆け上がる 片岡義男短編小説集』左右社 二〇一〇年

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