彼のオートバイ、彼女の島2
映画を書く、という仕方で行なわれる作品解説もまた、1個の独立した作品である
『彼のオートバイ、彼女の島』の続編ではない。
先行するその小説が映画化されるとしたらどうなるか、ということをテキストでやってみる、しかも同じ作家の手によって、という試みである。
場面描写が続く、ということだけでは済まず、そこにカメラと、そのフレームの意識、さらにはフレームが切り取る画面の意識が強固に表れるのが片岡義男らしい。
いわばこの作品は、作家自身によるカメラを媒介にした作品解説であり、批評なのだ。
そしてそれは同時に、生まれ変わった独立した作品でもある。