ブラドレーのグランプリ
すべてはそこで起こり、あるいは何も起こらない、無冠のグランプリ。
映画の撮影のために、スタント・ドライヴァーが召還される。
男の名はトリッシュ・ブラドレー。黒人だ。
映画監督も撮影監督も彼に絶大な信頼を寄せ、
彼もまた、終始、余裕の笑みを絶やすことなく
危険なシーンをこなしていく。
過去に負った傷が、ブラドレーにこの職業を選ばせているが
その屈託が仕事に影を落とすことはない。
ドラマを作るための失敗も葛藤もない
完璧なアンチクライマックス・ノヴェル。
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