洋食という言葉はまだ現役だ。しかし洋食そのものは、日本の日常になじみきっている。絵に描いたような洋食でも、さあ、これは洋食だぞ、と構えて食べる人はいない。
洋服は日本文化のなかに完全に吸収され同化した。洋服という古風な言葉はまだ死語ではないが、古風さのままに使ってふさわしい文脈は、もうないと言っていい。日常の服をわざわざ洋服と呼ぶ必要もない。
洋書はどうだろうか。これは死語になったばかりである、という僕の説を書いてみる。洋書が日本でたどった運命は、洋食や洋服のそれとは様相を異にしている。数奇な運命であ…
日本経済新聞