ラジオと僕の戦後六〇年
僕は戦後から始まっている。自分はあの瞬間にひとりの人として物心がついた、と断言することの出来る瞬間が、太平洋戦争における日本の大敗戦の瞬間、つまり広島に原爆が投下された瞬間だった。アメリカ軍による空爆が激しさを増した東京を逃れて、僕は山口県の岩国というところで、三歳、四歳といった幼年期を過ごしていた。広島に原爆が投下されたあの綺麗な夏の日の朝、自宅の近くを歩いていた僕は、原爆が炸裂したときの強烈な、しかもそれまで見たこともない不思議な感触の光を、全身で受けとめるようにして見た。そしてその日の夕方には、広島上空に立ちのぼるきのこ雲を見…
『Quick Japan』Vol.63 二〇〇五年十二月
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