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評論・エッセイ

街へ出て 六十年前の明眸皓歯

 いつもの私鉄電車に乗って帰り道、あの店にしばらく寄ってないな、とふと思った。定休日ではない。夜かなり遅くまで店は開いている。せっかくだから、という理由に背中を押されて途中で電車を降り、駅から三分のその店へいってみた。その店とは、僕が月に一度は立ち寄る古書店だ。
 収穫は充分にあった。そのなかに一九四九年に発行された月刊の家庭・婦人雑誌が四冊あった。大敗戦から四年目の日本の、急速な復興ぶりをその一身に充満させた様子は興味つきないし、なによりも僕をときめかせたのは、表紙絵を中心とした雑誌という物体の、一冊三百六十円で六十年前…

『THE NIKKEI MAGAZINE』No.96 二〇一一年四月十七日

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