情景の手帖 雨と風の設計図 最終回
自分よりも六歳あるいは七歳年上の、その女性の編集者が自分を相手に喋るのを聞いていた彼女は、その女性がどのような方針で喋る人なのか、少しずつわかっていった。そして最後には確信を持つことが出来た。自分が気のすむだけ喋ったあと、それを助走路にして本題を持ち出す、という方針だ。助走路はそのまま本題でもあるのだから、聞いている自分としては気を抜いてはいけない。そんなふうに思って、彼女は編集者の話のさらなる聴き役を務めた。
「雨よ降れ降れ、というフレーズがあるのね。年配の人ならたいていの人は知ってるでしょうね。歌える人だって多いと…
『キャシー・マム』二〇〇四年秋号
前の作品へ