洋菓子店の2階の喫茶店、僕を含めて男女ふたりずつ、深いローストのコーヒー、春の平日の夕方に、打ち合わせと称する談笑のひととき。いろんな話の合間に、僕ではないもうひとりの男性が、「ウルトラマンのいちばん好きな食べ物はなになの、と子供に訊かれて困っちゃった」と言った。
「カレーライスだよ、それしかない」と僕が即座に宣言したら、「そう、カレーライス、それしかないの、絶対にカレー」と、女性のひとりが情熱的に言った。なぜカレーライスなのか、彼女が説明したその理由とは。
小学校1年生のときにウルトラマンに目覚めた彼…
『朝日新聞』二〇一三年三月二十三日