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評論・エッセイ

作家の口福 ビールと冷奴、作家の幸福

「銭湯ビール冷奴」という題名の短編小説を書いているところだ。ビームスから刊行されている雑誌「In The City」の第8号に掲載される予定だ。
 物語そのものは陽ざしのなかにあるとして、陽かげのどこかに身をひそめるもうひとつの主題として、なんらかの食べ物を配置していただきたい、という注文だった。いっそのことそれを題名にしようと、あれこれ考えていたらこの題名となった。
 ある時代を感じさせる題名ですね、と言った人がいる。ビールと冷奴はどこにでもある、などと言ってはいけない、それは普遍に到達している、と僕は言…

『朝日新聞』二〇一三年三月十六日

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