先見日記 短編集に出会ううれしさ
ペーパーバックは出会いのものだ、と僕は思っている。ネットで注文したりせず、書店その他の場所で現物に出会い、これはと思ったら手に取り、素早く品定めをして、買おうと思ったらとにかくその場で買っておく。出会いとはこういうことだ。買い過ぎ、という状態におちいるのを防ぐための、護身術でもある。買い過ぎないためには、出会いを減らせばそれでいい。ペーパーバックのありそうなところへ、近よらなければいいのだ。
東京の街角でも待ち合わせに30分ほど余裕があったので、途中の書店の洋書売り場へ寄ってみた。洋書売り場の奥のほうは人が少ない。しか…
『先見日記』二〇〇四年十二月七日
前の作品へ
次の作品へ