先見日記 キャパのラスト・ショット
1954年の5月25日、写真家のロバート・キャパは、インドシナでフランス軍の戦闘行動に同行して写真を撮っている途中、地雷を踏んでその生涯を終えた。ジュネーヴ会議でインドシナ休戦協定が調印されたのがこの年の7月のことだから、フランス軍とヴェトナム人民軍との最後の部分で、キャパは命を落としたことになる。
ロバート・キャパの生涯に関しては、膨大で克明な伝記がある。しかし彼の生涯の最終章である、フランス軍に同行してのラスト・ショットにいたるまでの経緯は、きわめて簡略にしかなされていない。彼が地雷を踏んだのは、正確にはどの地点…
『先見日記』二〇〇四年十月五日
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