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評論・エッセイ

先見日記 ワリを食う世代、あるいは層

 勝ち組、負け組、という言葉がある。嫌な言葉だが、ひとまずは定着したようだ。このような言葉で言いあらわされる社会になってきた、ということだろう。なんとか別の言いかたはないものか、とかねてより考えていた。単なる言い換えではなく、ことの本質にさらに迫った言いかたとして、ワリを食う世代、ないしは層は、どうだろう。世代として、そして層として、集中的にワリを食う人たちが、顕在化し始めているのだから。
 ワリを食うとは、どういうことか。働くために必要な能力を持っていない、ということにほかならない。働きかたの変化は、人がその能力におい…

『先見日記』二〇〇四年三月十六日