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評論・エッセイ

先見日記 その鏡に日本が映る

 オウムとは日本そのものである、と多くの人が指摘してきた。定説である、と言っていい。オウムと日本は合わせ鏡であり、その鏡には戦後の日本が映っている、ということだが、これはなかなか自覚されにくい。
 オウムと日本とのあいだに会社と政府をはさむとわかりやすくなる。会社はオウム、政府もオウム、だから日本というぜんたいは、オウムという鏡にくっきりと映る。戦後の日本は経済絶対主義の企業社会主義だ。経済絶対主義を企業群が受け持ち、それに大きくよりかかった政府が、企業社会主義の国家を運営した。
 会社とは営業品目だ。これ…

『先見日記』二〇〇四年三月九日