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評論・エッセイ

先見日記 見送りに来ない人

 イラクの復興を支援するために、日本から自衛隊員が年内に派遣されることが確実となった。陸、海、空の三隊で合計千名ほどの規模だという。アメリカが要請していたのは、地上部隊だけで千名、というものだった。千名の地上部隊が現地でなにを引き受けさせられるか、素人でもわかる。警護や警戒、そして攻撃を受けたときの反撃の任務にきまっている。それだけはなんとか避けるため、三隊の構成として、員数だけは千名に合わせたのではないか。
 彼らは空路で現場へと向かうのか、それとも船で行くのか。出発の当日、その現場へ、内閣総理大臣は、見送りにあらわれ…

『先見日記』二〇〇三年十一月十一日