先見日記 劇的に終わり、劇的に始まる
これまでの社会を支えていたあらゆるシステムが、かたっぱしから終わっていく時代に入った。終わりながら同時に新しいシステムが生まれていくのだが、自動車のモデル・チェンジのようにはいかない。新しいシステムに支えられる社会が整うまでの、長い過渡期のスタート部分を、いま誰もが生きている。
ある日を境にして旧態が終わりを告げ、それに代わる根源的に質の異なるシステムに向けての助走が次の日から始まったという、そうめったにはないことだと僕が思う劇的な見本は、日本が始めたばかりの、北朝鮮との国交正常化に向けての外交交渉だ。
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『先見日記』二〇〇二年十一月十九日
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