東京縦画面 下町語録
このような景色を僕はこよなく好いている。僕が一方的に好いているのではなく、関係は双方向だ。最初の写真では、餃子というふた文字が、そこは餃子を食する場所であることを、きわめて端的に、僕なら僕に告げているではないか。次の写真のなかでは、まさに語りかけの言葉が、景色の主役を務めている。あまりにも好いているから、僕はこうした景色をただ見るだけでは気がすまない。晴れた日、少なくとも夕方までは空に雲のあらわれない日、ペンタックスLXにアグファのカラー・リヴァーサル・フィルム、CTプレシーサを入れ、僕にとってはいまだ未踏の地である、あちこちにたく…
『Free & Easy』二〇〇三年七月号
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