ありとあらゆるすべてのことを書きとめておくための一冊の万能ノートというものは可能かどうか、ぼく個人の日常的な現実にそくして考えてみた。
　どっしりと分厚い、ページ数のたくさんある、気に入ったノートを一冊みつけて来て、そのノートにすべてのことを記入していけば、そのノートはそのまま、ぼくにとっての万能ノートになるはずだ。
　書きとめておきたいこと、たとえば読みたい本のタイトル、聴きたいレコードのタイトル、気になる映画の題名、忘れたくない電話番号、ふとひらめいたアイディア、何日かさきの約束事、いかなくてはならな…

『BE-PAL』一九八五年一月号