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評論・エッセイ

片岡義男のぼくのお気に入り道具たち 二十歳になるまでに体験したどのシャツよりも、素敵だった──ペンドゥルトン

 ぼくが最初に着たウールのシャツは、ペンドゥルトンのシャツだった。子供のころ、記憶にも残っていないささやかな出来事として、ひょっとしたらウールのシャツを着たことがあるかもしれないが、自分はウールのシャツを着るのだと、はっきり意識して着た最初のウールのシャツは、ペンドゥルトンのものだった。
 そのペンドゥルトンのウールのシャツは、ぼくの二十歳の誕生日に、アメリカの伯父がぼくにプレゼントしてくれたものだ。ぼくの誕生日は三月二十日だ。一月になるとすぐに伯父から手紙が来て、こんどの誕生日にプレゼントとしてなにが欲しいか知らせてく…

『BE-PAL』一九八三年三月号

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