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評論・エッセイ

クローズ・アップ 7 流れる時への憂いを歌うフィービ・スノウ

 フィービ・スノウの一枚のLP『フィービ・スノウ』を、AB両面、聞きおえたばかりだ。これで三度目だ。心のなかにのこっていくいい気分は、三度目でもやはり変わらない。

ふるえる裏声がさわやかな緊張を

 音の印象が、たとえようもなく素敵だ。ほんのわずかに、しかしはっきりと、ブルーに内向していく雰囲気をたたえつつ、ぜんたいはすっきりとメランコリックだ。
 おさえのきいたシンプルな、余裕のあるリズムが、ひどく都会的に洗練されている。
 クールに、軽く、べとつかず、さわや…

『別冊FMfan』第7号 一九七五年十月十六日

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