フィービ・スノウの一枚のLP『フィービ・スノウ』を、AB両面、聞きおえたばかりだ。これで三度目だ。心のなかにのこっていくいい気分は、三度目でもやはり変わらない。
ふるえる裏声がさわやかな緊張を
音の印象が、たとえようもなく素敵だ。ほんのわずかに、しかしはっきりと、ブルーに内向していく雰囲気をたたえつつ、ぜんたいはすっきりとメランコリックだ。
おさえのきいたシンプルな、余裕のあるリズムが、ひどく都会的に洗練されている。
クールに、軽く、べとつかず、さわや…
『別冊FMfan』第7号 一九七五年十月十六日