ロンサム・ジョッキー 17 古びたベッドが青い月の光の中に浮いていた
アメリカ! 放浪の旅
★新しい風を求めて
よく使いこまれたベッドだった。
長い年月にわたって、おそらくはおなじ持主が、ごく素朴に使ってきたベッドだということは、ひと目みただけでわかった。
分厚い木材を用いた、簡素な造りだった。使用されている板の厚みは、そのベッドを造ったときの、使い手の決意のこもった厚さだと言えた。
つまり、自分はこのベッドを、ずっといつまでも、おそらく一生、使いつづけるのだという、平凡にして屈強な決意だ。
その決意の静か…
『ミスター・バイク』一九七七年九月号