ロンサム・ジョッキー 18 Vツインを走らせる、夏の陽と潮騒の中に
アメリカ! 放浪の旅
★新しい風を求めて
半島の東側を、南の突端にむかってぼくは走っていた。起伏のつづくワインディング・ロードのどこにも、真夏の陽ざしがいっぱいに満ちていた。右まわりのカーブでその頂点に張り出していくたびに、強い陽をうけて光っている夏の海が、視界に広がって見えた。淡い灰色のサングラスごしに、無数の小さな波のきらめきのひとつひとつが、海が声をそろえてうたう太陽の讃歌のようだった。
排気ガスのにおいがすくなかった。遠い日の夢の中で見た理想的な真夏の快晴の下で、半島のワ…
『ミスター・バイク』一九七七年十月号