VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

評論・エッセイ

CDを積み上げる 架空の理想を積み重ねる

 エリアーヌ・エリアスのチェット・ベイカーへのトリビュート・アルバムを聴いてみた。"Thought About You"という題名は収録してある十四曲のいちばん最初の曲名だ。二〇一三年の作品だそうだ。トリビュート、と言ったその瞬間から、作中で発揮されるはずの才能は、確実に小さくなる。ならんでいる曲はプロフェッショナルな作曲家と作詞家が作った、よく知られた歌だ。明確に始まりがあり、工夫された起伏をたどったあと、始まりとおなじく明確に、終わりがある。どの曲にも、敬意を表すべき原曲というものがあり、これは守らなくてはいけ…

『図書』二〇二〇年十二月号

このエントリーをはてなブックマークに追加