VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

評論・エッセイ

散歩して迷子になる 37 短編小説を書く途中で

 自分で書く小説のための材料は、少なくとも書き始める段階にまでいたれば、すべて自分のなかにある。そしてその自分がひとりで考えながら、ひとりで書いていく。最初の一行から最後の読点ひとつにいたるまで、すべてを僕が書く。
 小説のなかで中心的な存在となってその役割を担う人、あるいは人たちは、主人公と呼ばれている。だからここでもその言葉を使うとして、主人公たちだけではなくあらゆる登場人物を、僕ひとりが作っては言葉で造形していく。
 主人公とは、いったいなになのだろうか。主人公がなにを考え、なにを思い、それらにもとづいて…

『図書』二〇一一年四月号

このエントリーをはてなブックマークに追加