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評論・エッセイ

散歩して迷子になる 36 孤独という状態の有効活用

 これから書くような内容のことをめぐって、僕に一般論は書けない。一般論を書くこと、あるいは、書こうとすることなどに、意味はまったくないように思う。したがって、僕ひとりだけのこととして、書いていくほかない。
 小説を書いているときの僕は、孤独であるという状態のきわめてポジティヴな有効活用をしている、とまず書いてみよう。書き始めてから書き終わるまで、僕は完全にひとりだと言っていい。日ごと繰り返されていく日常生活は、いろんな人たちとのさまざまな関係で支えられて成立している。これはごく当たり前のことだが、小説を書いているときの僕は…

『図書』二〇一一年三月号

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