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評論・エッセイ

散歩して迷子になる 33 小説はこうして生まれるのか

 僕はいまでもいろんな文章を書いている。書き始めてから四十年以上になる。それだけ続けているからには、僕は文章を書く人なのだろう。その僕にとって、もっとも好ましいのは、どうやら小説の文章であるようだ。まだ断言は出来ないから、こんな言いかたになる。
 どんな文章を書いてもそれは根源的には小説なのではないか、という思いはあるけれど、そこまでは話を広げないことにしよう。これは小説である、と意識して書いたものだけを、いまは小説と呼ぶことにする。
 僕にとって小説とはなにか。小説をめぐるたいそう広い一般論は充分に成立するけ…

『図書』二〇一〇年十二月号

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