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評論・エッセイ

散歩して迷子になる 30 自分で支える自分自身のすべて

 いつ頃のことだったか、思い出そうとすることに意味はほとんどない。ずいぶん前、としか言いようはない、そしてそれで充分だろう。ある文芸雑誌の企画に、その編集部の編集者と作家が一問一答をおこなってそのぜんたいを掲載する、というものがあった。最後の質問だけ僕は記憶している。それは、いちばん好きな言葉はなにですか、というものだった。この問いに対する自分の答えも、僕は記憶している。僕がいちばん好きな言葉は、好きにしなさい、というものです、と僕は答えた。
 この質問を受けとめたとき、それへの回答として僕の頭のなかに反射的に浮かんだのは…

『図書』二〇一〇年九月号

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