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評論・エッセイ

散歩して迷子になる 29 なぜ僕はこうも買い込むのか

 アメリカで出版されたペイパーバックを古書として東京で買うことを、僕はいまでも続けている。この場合の古書とは、おおまかには、太平洋戦争のさなかから一九七〇年代のなかばあたりまでに出版されたもの、というほどの意味だ。この期間のものが、僕にとっては、東京で買うアメリカのペイパーバックの古書だからだ。
 数冊ずつでもいいからこのようなペイパーバックを継続して買うことの出来る古書店は、東京にはもはや神保町にしかない。そしてその神保町でも、ペイパーバックを扱っている古書店は、僕の知るかぎりでは五軒だけだ。
 昨年のいま頃…

『図書』二〇一〇年八月号

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