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評論・エッセイ

散歩して迷子になる 24 一九六〇年代、青年と鉛筆

 一九六〇年代の十年間は僕の二十代と重なっている。一九六〇年の僕は大学の二年生だった。一九六一年、三年生のときから、僕は一般に市販されている雑誌に、文章を書き始めた。いちばん最初は『マンハント』という翻訳ミステリーと日本の書き手によるコラムの雑誌に、アメリカの作家の短編ミステリーを翻訳したものが掲載された。一九六三年に大学を卒業し、就職して三か月だけ仮採用の社員として過ごし、そこからあとはいまに続くフリーランスの日々となった。
 一九六〇年代の前半は、『マンハント』という雑誌を、主として人脈的な中心として持ちながら、その周…

『図書』二〇一〇年三月号

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