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評論・エッセイ

散歩して迷子になる 11 一冊百円という値段の幸せな正解

 十二月初め、雨の降る気温の低い日の午後、東京・吉祥寺の古書店でアメリカの本を六冊、僕は買った。そのうちの二冊は雑誌だ。一九三〇年にアメリカで発行された映画雑誌だった。『フォト・プレイ』そして『ピクチャ・プレイ』というタイトルで、八百円と千円だった。一九三〇年代アメリカの映画に僕はまず年齢からいってなじみはまったくないのだが、こんなものがいまこんなところで売られている、という驚きや発見は、自分の内部に取り込むほかない。だから買ったのだ。それぞれの表紙に使われているジーン・ハーロウとメリー・ノーランの絵は、物体としても魅力は充分だ。いず…

『図書』二〇〇九年二月号

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