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評論・エッセイ

散歩して迷子になる 10 地下鉄から交差点へ出た夏の午後

 二〇〇八年の夏から秋にかけて、合計で二百冊を越えるペイパーバックを僕は神保町で買った。七月から十月いっぱいの四か月として、そのなかで二百冊を越えるのだから、ひと月には五十冊以上であり、それを買った自分よりもそれだけの数のペイパーバックがいまも神保町で買うことが出来る、という事実にはあらためて驚かないわけにはいかない。途方もない数のペイパーバックが流通した、これはなによりの証拠だろう。
 二十代の頃は新宿から中央線で御茶ノ水駅までいき、そこで降りて明大の前の坂を駿河台下まで下り、さてどうするか、というのが神保町を歩くときの…

『図書』二〇〇九年一月号

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