VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

評論・エッセイ

散歩して迷子になる 9 ペイパーバックに惹かれる理由

 十三歳の頃からアメリカのペイパーバックを買い始めた僕は、いまでも買い続けている。半世紀を越えてペイパーバックを買ってきたのだから、アメリカのペイパーバックというものに、本質的に惹かれていることは確かだと言っていい。本質的にとは、僕の本質がペイパーバックの本質と、余計なものを間にはさむことなく、核心どうしが直接的に、というような意味だ。ペイパーバックのいったいなにがそこまで、僕をとらえるのか。僕のなにが、ペイパーバックにそんなにまで惹かれるのか。
 かつてペイパーバックにはサイズが二種類あった。横幅はどちらもおなじく四・五…

『図書』二〇〇八年十二月号

このエントリーをはてなブックマークに追加