Truckwatching ボクの眼の前を驀走していったケンウォースが地平線に消えていく。
自動車の国アメリカで、普通の乗用車の影がすっかり薄くなってしまった。乗用車なんて、日常生活のゲタがわりで、珍らしくもなんともないという感じ。どんなすさまじいスポーツタイプの車もステータス・シンボルにはなりえないし、カスタマイジングもホットロッドもストリート・マシーンも、なんとなくさえなくなってしまった。やるべきことはやりつくしてしまったのだ。
車に関する興味の中心は、ピックアップ・トラックやヴァンに移っている。カスタマイジングの知恵しぼりもこれからだし、乗用車をいじるよりずっと幅が広くて楽しい。ライフ・スタイルの変化も…
『POPEYE』一九七六年九月二十五日号
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