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評論・エッセイ

『彼らを書く』あとがき

 はじめは映画の本を作るつもりだった。だからDVDで僕は映画を選んだ。採り上げるための映画だ。二十作品を選ぶと、そのならびかたには、明らかに僕があった。当人だから、僕があった、と言えるのだが、当人はひとりしかいず、その他はすべて当人ではないのだから、その大勢のかたたちは、この選びかたには当惑するはずだ、という意見が担当の編集者である篠原恒木さんから出た。これは面白い、ぜひこれで一冊の本を作ってほしい、という意見もあったが、篠原さんが得たひらめきによれば、音楽映画でまとめるといいのではないか、ということだった。
 それには僕…

初出:『彼らを書く』光文社 二〇二〇年
底本:『彼らを書く』光文社 二〇二〇年

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