2DK襖の下張り
永井荷風が春本を模して書いたと伝えられる「四畳半襖の下張り」を下敷きに、片岡義男が昭和四十年代の艶笑譚として、現代語による戯作文学に挑んだ短編小説です。新婚の夫婦の性の営みを通して、昭和の女性の巧妙なリードによる生活を、流れるような語り口で描いた、作家デビュー前の片岡義男の才気が横溢した作品。リズミカルな文体で綴られる、結婚するまで童貞だった太郎と、手芸で自活できる腕を持つ敬子との性行為は、馬鹿馬鹿しくも愛おしく、正しくポルノ小説にも青春小説にもなっています。若き上村一夫のポップな挿絵も見所です。
『推理ストーリー』一九六九年四月特大号
前の作品へ
次の作品へ