LAST OF A BREED アメリカ物語
天井からスポットライトがひとつ、ステージの前部中央を照らした。丸い明かりのなかに、マイクが一本、立っていた。二、〇〇〇人の観客のなかからおこりはじめた拍手と観声が、急にやんだ。マイクには、テンガロン・ハットがひとつ、かかっていたからだ。照明をそのままにした暗い沈黙のなかへ、低い男の声が語りかけはじめた。ミッドナイト・ライダー号の運転手、ジム・「スーパーサドル」・マクラウドの声だった。
「今夜おあつまりのラレードの町のみなさんに、ほんとうに語りたくないことを語らなくてはいけないのです。どうすることもできない事実ですから、い…
『Switch』Vol.4 No.1 一九八五年十月号
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