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評論・エッセイ

Coffee Table Reading

1 死者も手をのばす一杯のコーヒー

 子供の頃からいろんなコーヒーを飲んできた僕が、これは最高だと思いながらいま飲んでいるコーヒーを、ぜひ紹介しておきたい。そのコーヒーは『デッドマンズ・リーチ』といい、防湿紙袋に三百九十七グラム入っている。この豆でいれたコーヒーを、死して久しくいまはベッドの上で白骨となっている人のかたわらに置くと、白骨は手をのばしてカップをつかむ、という意味の絵が袋に描かれている。こういう袋も僕は初めて見る。そしてそのコーヒー豆を売っている会社の名称は、レイヴンズ・ブリュー(わたり烏のいれた…

底本:『Coffee Table Reading』(ポストカード・エッセイ) Rainy Day Bookstore & Cafe発行(スイッチ・パブリッシング運営) 二〇〇六年十一月二十二日

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