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評論・エッセイ

叙情の影を聴いた 3

夕食のあと彼は彼女に水鉄砲を見せた。二百円。「これできみに悲鳴を上げさせる。僕はまだきみの悲鳴を聴いていない。キャーッという、まるで絵に描いたような、漫画のような悲鳴」。「心がけましょう。反射的に心がけるのね。練習しておこうかしら。キャーッ」。彼は想像する。水着を身につけた彼女のそのような姿を。

『Coyote』No.32 二〇〇八年十月

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