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評論・エッセイ

叙情の影を聴いた 2

「子供の頃に聞いた音で、いまはまったく耳にしない音に、どんなものがあるだろう」と、僕は言った。小学校の先生が黒板にチョークでなにか書いていくときの音。授業が終わるときの音。ご飯ですよ、というまだ若い母親の声。時間の経過に沿って状況が変化すると、その状況に固有の音も、ふと消えてそれっきりとなる。

『Coyote』No.31 二〇〇八年九月

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