読む、映画『ラストスタンド』 久しぶりに観たデピュタイズの場面
アリゾナ州とメキシコとの国境には岩場のような地形に深く刻まれた渓谷があり、その川幅がもっとも狭くなっている部分からさほど遠くないところに、小さな田舎町が物語の背景として設定してある。この田舎町の保安官をアーノルド・シュワルツェネガーが演じている。
アメリカン・フットボールの試合に町のプレーヤーたちが出るので、町の人たちは多くが応援に出かけて留守である週末、という設定が重なる。人々が留守ではないとき、この町は経済的にどのように機能してその存続を維持しているのか、と僕は思う。こんなことを思うのも、この映画の楽しみかたの、重…
『キネマ旬報』二〇一三年五月下旬号